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東洋経済ONLINE

理事長 上昌広

東洋経済ONLINE(2020/7/27) 「コロナ第2波」日本に決定的に足りない対応策 従来の感染症法に頼っていては限界がある

「コロナ対策は感染症法に基づいて実施されている。この法律では、感染拡大を防ぐため、感染者が確認されれば、濃厚接触者を探し出し、検査を受けさせることが規定されている。積極的疫学調査といい、実施するのは感染研と保健所、地方衛生研究所だ。その費用は公費で賄われる。実は、この仕組みは一般の保険診療とはまったく異なる。保険診療では、医師が必要と判断すれば、その検査を実施することができ、費用は保険および自己負担で支払われる。

 コロナ流行当初、PCR検査の基準を「37.5度4日間」と定義して、多くの「PCR難民」を生み出したのは、そもそも積極的疫学調査が国内の感染者を診療するために設計されたものではないからだ。明治に作られた伝染病予防法に始まる国家が感染者を見つけ、隔離するという思想に基づくものだ。当時、伝染病対策を担当したのは内務省の衛生警察だ。感染者を強制隔離し、自宅を封鎖した。この考え方が今も生きている。

 諸外国が重視する院内感染防止のため医師や看護師、あるいは介護士や、社会的弱者としてホームレスなどへの対応が感染症法で規定されておらず、公費で検査費用を負担できない。この結果、PCR検査数は伸び悩み、コロナ感染は拡大した。

 第2波を抑制するには早急に感染症法を改正する必要がある。そうしなければ、公費で検査ができない。予算措置でやれる範囲は限られている。ところが、厚労省にその気はなさそうだ。無症状者への検査は不要としているのは前述のとおりだ。これでは日本はいつまでも感染症後進国のままだ。いまこそ、国民目線で感染症対策を見直したほうがいい。オープンな議論が欠かせない。」

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