HARBOR BUSINESS Online
理事長 上昌広、理事 久住英二
HARBOR BUSINESS Online(2020.07.29)
【コメント】「医療崩壊」を招くのは「PCR検査拡充」じゃなく政府の無策。コロナ第2波で病院倒産が加速する
「確かに、英国では第1波で6%ほどあった致死率が、最近は1.5%まで下がっています。原因としては、①ウイルスの弱毒化、②有効な治療薬や医療現場のマネジメント向上、③PCR検査の拡大が考えられるが、どれが本当の理由かはわかっていません。根拠なく“弱毒化”説を妄信すれば、根本的対策を誤ることにもなります。これまでは日本での死者数が少ないこともあり、厚労省のなかには『コロナは50歳以下の人には、ただの風邪』と信じている医系技官すらいて、そもそも対策を講じる気がないのではないか。いまだにPCR検査数も圧倒的に足りず、検査数が少なければ、経路不明者が多くなり、その結果、感染は拡大していきます」
「そもそも、現状では第1波のコロナ患者を受け入れた病院のほとんどが、赤字に陥っています。コロナ患者をICUに収容すれば、通常の肺炎患者の6倍のマンパワーが必要。また感染予防のために担当の医師や看護師は一般病棟とのかけ持ちが難しくて人手が割かれる。たとえ軽症でもコロナ患者は退院まで時間がかかるのに、医療行為が少ないため報酬は低い。コロナ患者は受け入れるほど、病院経営は悪化します。医療スタッフは第1波で疲弊しているうえ、ボーナスももらえず、現場を去る人もいる……。第2波に備えて病床だけ増やしても、医療体制や人員を確保できなければ何の意味もないのです」
「第2波の到来で新宿区や港区など東京の真ん中に位置する総合病院は相次いで倒産するかもしれません。診療報酬は全国一律で、近年は医療費を抑制するため報酬も上がっておらず、病院はせいぜい3、4か月の運転資金しかない。そもそも総合病院はがんセンターなどの専門病院に比べ、概して財務状況がよくないので、コロナ患者の受け入れを長期間続けるのは難しい。第2波が長引けば、感染者を受け入れるのは公立病院だけになり、“入院難民”が激増する恐れが東京にはあります」