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FACTA

研究員 尾崎章彦、インターン 村山安寿

スクープ! コロナ著名人と製薬マネー  新型コロナウイルスの克服には製薬企業との連携が欠かせないが、負の側面である「金銭的利益相反」への配慮は不十分だ。 2021年12月号

 『製薬企業から医療者・医療機関に支払われる謝金や寄付金(以下、製薬マネー)は、医療者・医療機関にとって代表的な金銭的利益相反の原因であり、製薬企業に都合の良い形で診療を歪めてしまう可能性がある。

 …では、なぜ医師資格を持つ大学教授に、製薬マネーの支払いが集中するのだろう。製薬企業の売り上げの大部分は、医師が処方する処方用医薬品に依存している。…その領域で名が通った医師がパートナーとして選ばれる傾向にある。加えて、日本の医学界においては、大学教授を中心とするヒエラルキーが強く、「権威付け」を狙って大学教授が選ばれやすい。

 

 20年5月5日のTBS系情報番組「ゴゴスマ」における、三鴨廣繁氏の、「(アビガンは)早期に投与した方がよく効く。…『早期に投与できればきちんと直すことができる』というイメージが我々にはある。こういった薬が一般の先生が使えるようになるのは極めて朗報だと思う」といったコメントである。…アビガンは、元々、富士フイルム富山化学の前身である富山化学工業が抗インフルエンザ治療薬として2014年に販売を開始した。…当時、新型コロナに関してのアビガンのデータは乏しかった。…三鴨氏は、16年から19年にかけて、富士フイルム富山化学から総額で2116万1875円と莫大な謝金を受け取っていた。

 …読者の方々には、お馴染みの専門家とこれらの製薬企業の間に濃厚な金銭的利益相反が存在することを、よく意識してほしい。21年10月1日には米メルクの経口薬「モルヌピラビル」の有効性が、11月5日にはファイザーの経口薬「パクスロビド」の有効性が報告されており、今後日本のマスメディアの報道が熱を帯びてくるだろう


 …(コロナ分科会委員)舘田一博氏は総額で3472万3615円の製薬マネーを受け取っており、今回紹介した専門家の中でも三鴨氏に次いで製薬マネーの受け取りが多かった。現在に至るまで分科会委員の金銭的利益相反は公開されていない。一方で、医薬品の保険収載に関わる薬事食品衛生審議会などにおいては、委員において金銭的利益相反の提出が義務付けられており、基準を上回る金銭的利益相反を持つ専門家は、審議に参加することが許可されない。分科会においても同様の仕組みを構築すべきだったと言える。


 新型コロナ克服には製薬企業との連携が欠かせないが、その負の側面である金銭的利益相反への配慮は不十分であった。今後起こりうる国家的危機において、広く適切な金銭的利益相反管理が実現されるよう、新型コロナにおける金銭的利益相反管理を振り返り、その教訓を残していく必要があると、筆者らは信じている。』


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