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【プレスリリース】⽶国で撤回された医薬品が⽇本・欧州においては承認されたままとなっている事実を明らかに

 医薬品は、安全性と有効性とが科学的に⽴証された上で承認されるべきです。今回、エバーハルト・カール⼤学テュービンゲン(以下、テュービンゲン⼤学)の秤⾕ 隼世 研究員は、アイルランド王⽴外科医学院、医療ガバナンス研究所、ルンド⼤学の研究グループとの共同研究で、医薬品の市販後試験の結果を受けて⽶国で撤回された抗がん剤の⼀部が、⽇本または欧州では承認されたままとなっている現状を明らかにしました。この発⾒は、⽇本または欧州では「効果の疑わしい医薬品」が市場に残ったまま保険適⽤されてしまっている可能性を⽰唆します。

 本成果は、Clinical and Translational Science誌に掲載(2024年7⽉11⽇公開)されました。


背景:⽶国・⽇本・欧州においては、患者さんのもとへ迅速に医薬品を供給すべく、迅速承認制度と呼ばれる医薬品の承認システムが存在します。この枠組みでは、患者集団のデータが不⾜していたり、代⽤エンドポイントに基づいた有効性データで承認審査がなされるため、有効性についてはあくまでも推定された状態での承認です。そのため、頑健な科学的有効性については市販後に評価されることとなります。


方法:⽶国規制当局Food and Drug Administration (以下、FDA)のオープンデータベースから、1992年12⽉11⽇から2023年4⽉30⽇までの間に「⽶国で迅速承認を受けたが、その後撤回された抗がん剤」を特定し、これらの医薬品について、⽇本・欧州における承認状況を調査しました。


結果:調査終了時点で、23 品⽬の抗がん剤が⽶国から撤回されたことを特定しました。このうち⽇本では7品⽬・欧州では12品⽬が、承認申請されていました(図1. 重複あり)。これらの申請のうち、⽇本では100% (7/7)、欧州では83% (10/12)が承認されていることが明らかとなりました。さらに、これらの「効果の疑わしい医薬品」が各国・地域で承認されたままとなっている期間を解析したところ、⽇本では中央値3.2年、欧州では1.3年でした。


展望:⽇本や欧州の規制当局は、今回発⾒された「エビデンスが不確実なまま上市されている医薬品」についての有効性と安全性を再評価する必要性を⽰唆します。



論⽂タイトル:Continued cancer drug approvals in Japan and Europe after market withdrawal in the US: A

comparative study of accelerated approvals


<本研究にかかる問い合わせ先>

秤⾕ 隼世 (テュービンゲン⼤学 研究員 hayase.hakariya@uni-tuebingen.de , aya.pha3@gmail.com )

尾崎 章彦 (NPO法⼈ 医療ガバナンス研究所 ozakiakihiko@gmail.com )



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