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理事長 上昌広

【連載】現役医師が緊急レポート!新型コロナ感染拡大の現状【第14回】コロナ対策:「マスクしない人=ヤバい人」ではない、医学的に正当な理由【医師が解説】 2022.6.24


「 私は、一連のマスク論争こそ、日本のコロナ対策の迷走を象徴していると考えている。それは、議論がエビデンスに基づかず、空気に左右されているからだ。今年2月、韓国の研究チームが『医療ウイルス学』誌に発表した研究が興味深い。彼らは、コロナ感染予防に対するマスクの有効性を調べた複数の臨床研究の結果をまとめたメタ解析(複数の臨床研究をまとめるため、医学的エビデンスとして最も尊重される)を行った。この研究では、マスクの効果は、そのタイプによって違っていた。医療従事者がN95という特殊なマスクを用いた場合、コロナ感染は7割程度減っていたが、一般人が通常のサージカルマスクを使用した場合には、感染リスクは2割程度減るだけで、有効性は統計的に有意ではなかった。つまり、効果は証明されていないことになる。

 マスクの有効性は証明されていないから、着けるべきでないと主張するつもりはない。ただ、効果はあったとしても、感染を2割程度減らすだけなので、装着を嫌がる人に無理強いする必要はないし、マスクを装着していない人が周囲にいても、そこまで気にする必要はないということはできる。このような対応は、日本以外の世界標準だ。マスクについて、見方が変わったのは、コロナ感染の主体が、唾液などによる飛沫感染ではなく、エアロゾルによる空気感染が主体であることが明らかとなったからだ。両者は、必要とされる対応が異なる。

 科学的な根拠に反し、空気感染の関与を否定し続けてきた厚労省、国立感染症研究所、周囲の専門家たちの責任は重い。日本のコロナ対策は、もっと科学的に合理的でなければならない。

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