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東洋経済ONLINE

理事長 上昌広

コロナ4・5波「必ず来る」想定で備えが必要な訳 ワクチン耐性の変異株広がる前に何ができるか 2021/4/1

 ここまで日本が迷走したのは、厚生労働省医系技官、感染研の専門家が構成する「感染症ムラ」が主導してきたからだと私は考えている。カネと情報を独占し、日本の有為な人材が活用されなかった。世界は違う。国家の総力を挙げてコロナ対策に取り組んできた。遺伝子工学や情報工学の専門家が主導する個別化医療の専門チームだ。海外では、このような「感染症ムラ」以外の有能な人材を活用している。

 実は、「個別化医療」の分野をリードするのは日本だ。私は、「感染症ムラ」が中村教授の力を借りたという話は聞かない。これは氷山の一角だ。「感染症ムラ」が仕切る限り、日本は優秀な人材を活用できない。合理的でない対応は失敗する。日本のコロナ対策は抜本的な見直しが必要だ。その第一歩は感染ムラの解体だと私は思う。体制を刷新し、有能な人材を登用しない限り、日本の衰退は避けられない。

 1月と8月を中心に二峰性の分布をしていることがわかる。感染者数、感染対策は各国で異なるのに、感染がピークになった日は驚くほど似ている。季節性の変動なしに、このような状態ができることはない。

 私は、現在「リバウンド」と称されている現象は、このような季節性変動と絡めて議論すべきと考えている。


 新型コロナはいったん感染が拡大すると、数カ月をかけて徐々に増えていく。そして、その後、数カ月をかけて収束していく。私は、今夏の新型コロナの流行は簡単には収束しないと考えている。変異株の感染が拡大したブラジル、南アフリカの1月の感染者数は北半球のカナダやメキシコを上回った。真夏の南半球で、真冬の北半球並みの流行が起こっていたことになる。


 今夏、東京五輪で感染が拡大し、そのまま秋から冬を迎えれば、冬場に到来する第5波の感染者数は昨年レベルでは終わらないだろう。





 欧米先進国や日本のようにコロナが蔓延している国には残された時間は少ない。新型コロナが冬と夏に流行を繰り返せば、ワクチン耐性の変異株が容易に誕生するからだ。ワクチン耐性株が広まるまでに、現在入手可能なワクチンを早く行き渡らせて、集団免疫を獲得するしかない。

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